ただのしがない看護師の世迷言

都内大学病院に勤務している救命看護師が勝手に発します。学んだことのアウトプットや疑問のなげかけ、論文の紹介などしようと思います。もちろん自分の考えや知識が間違っていることもありますし、論文の紹介などは誤訳・意訳もあると思います。著者の原意を損なっていることもあるかもしれないので、鵜呑みにせずに原文を必ず参照し、間違いがある場合はご指摘いただくとありがたいです。なお、抄録内容の著作権については、当然、当該英語論文の著作者に帰属します。どうぞよろしくお願いします。

【外傷】一次性脳損傷と二次性脳損傷

別記事にも書きましたが夏休みいただいていました。

有意義なお休みありがとうございました、師長さん。

 

 

またもや頭部外傷について。

TBI(Traumatic Brain Injuly:外傷性脳損傷)発生後から一次性脳損傷と二次性脳損傷が発生していきます。

 外力による力学的損傷

 外傷を受けたときに障害が決定する

 血腫・浮腫などにより脳が圧迫されて起こる損傷

 治療により軽減することが可能

 

ということなので、

看護師はまず一次性脳損傷を起こさないような看護、起こしても軽症で済むような看護を行う必要がありますよね。

それが前回の記事で書いたもの。例えば転倒転落予防や転倒転落時の頭部への衝撃緩和などがその一部だと思います。

 

二次性脳損傷についての介入も必要です。

二次性脳損傷の予防と軽減。

救命看護師であればメインはこっちですかね。

 

前述していますが、二次性脳損傷は治療による軽減が可能です。

看護により予防・軽減することも可能です。

 

 低血圧

 低酸素

 貧血

 高体温

 高二酸化炭素血症

 低血糖

 酸塩基異常・代謝異常

 全身炎症・感染

 血液凝固異常

 頭蓋内圧亢進

 頭蓋内占拠性病変

 脳浮腫

 脳血管攣縮

 水頭症

 頭蓋内感染症

 てんかん

 脳血流低下

 脳代謝異常

 電解質異常

 フリーラジカル産生

 

と、たくさんあります。これらすべてを考えながら看護していくわけですが・・・

自分が看護介入や観察で重要と考えるのが

この二つです。全部重要なんですが、「特に」という意味で。

酸素化に関しては、看護師の感度は高いです。

SpO2が5%くらい一気に下がったらドキドキしますよね。

あと酸素化はモニタリングが容易ですし、酸素化の評価指標が多い(SpO2・PaO2・A-aDO2・P/F ratioなど)のでアセスメントは比較的容易だと思います。

 

しかし!

換気に関してはモニタリングは酸素化と比べて容易でないことが多いです。

人工呼吸器管理中であればEtCO2(呼気終末二酸化炭素濃度)をモニタリングしますが、血ガスでの値と乖離していることもしばしば。

なので換気に関してはある程度の観察やアセスメントが必要です。

 

換気≒分時換気量(MV:Minute Volume)

 

であるため、分時換気量がどのくらいか把握し、考えなくてはなりません。

 

分時換気量(MV:Minute Volume)=一回換気量(TV:Tidal Volume)ml×呼吸数(RR:Respiratory Rate)回/分

で○○○○ml/分になりますので、●.●L/分へ変換。

 

正常値は

一回換気量(400~500ml)×呼吸数(12~18回/分)

=4800~9000ml/分

=4.8~9.0L/分

です。もちろん年齢や体格によって、この範囲外のこともありますが。

9.0L/分はちょっと多いかもですね、実際は7.0L/分くらいがいいかも。

分時換気量が多いほどPaCO2は低下し、分時換気量が少ないほどPaCO2は高くなります。

つまり高二酸化炭素は「分時換気量が少ない状態」であるということですね。

 

実際にどういうことかというと、先ほどの式で考えると

  1. 一回換気量が低下しているパターン
  2. 呼吸数が低下しているパターン
  3. 一回換気量・呼吸数ともに低下しているパターン

の3つです。

 

人工呼吸器管理中であれば、モニタリングされるので分時換気量の把握は容易です。

 

人工呼吸器管理していない場合(非挿管患者)の場合は、

一回換気量→呼吸様式や呼吸深度を観察しましょう。その観察の様子から一回換気量を予測しましょう。ハロースケール・ライト・レスピロメーターなどがある場合はBVMマスクなどに装着し換気量計測が可能です。

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https://www.imimed.co.jp/medical/product/vent_related/haroscale/

呼吸数→胸腹部の運動や聴診での呼吸音で観察しましょう、チェーンストークス呼吸や失調性呼吸がある場合は観察難しいです(そのような呼吸状態では挿管されていると思いますが)。

 

換気のアセスメントはできると、また一つレベルアップできます。

 

 

本日はここまで。

続きはまた今度。

では。

 

 

(引用・参考元)

 

 

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