ただのしがない看護師の世迷言

都内大学病院に勤務している救命看護師が勝手に発します。学んだことのアウトプットや疑問のなげかけ、論文の紹介などしようと思います。もちろん自分の考えや知識が間違っていることもありますし、論文の紹介などは誤訳・意訳もあると思います。著者の原意を損なっていることもあるかもしれないので、鵜呑みにせずに原文を必ず参照し、間違いがある場合はご指摘いただくとありがたいです。なお、抄録内容の著作権については、当然、当該英語論文の著作者に帰属します。どうぞよろしくお願いします。

【看護理論】EBMとEBN

こんにちは。もう10月ですね。時間経過が早い・・・

 

今年の6月に独立行政法人大学改革支援・学位授与機構の試験を受け、無事看護学の学士を取得しました。

晴れて大卒扱い!

と思いきや、当院ではそうはならないらしい。

お給料あげてくださいとは言えず・・・

でも今後のキャリアアップのためには必要なことでもあり、大学で学べたこともあるのでよしとしましょう。

学位授与機構の試験は実地での小論文試験があるのですが、その試験の前に学習成果なるものを提出します。

お題は何でもいいみたいです(当然看護学に関与してなければダメ)。

自分はその学習成果の中で「EBM」と「EBN」ということについて触れました。

なので、今回はEBMとEBNについて少し紹介しようと思います。

 

最近の看護ではエビデンス(根拠)が重要視されていますよね。

看護師も「エビデンスはあるの?」「エビデンスはどうなの?」なんてことをよく聞きますよね。学生のときの実習で指導看護師に詰められたことを思い出します。

でも実際、エビデンスって何?と思っていました。

 

近年ではEBN(Evidence-Based Nursing:科学的根拠に基づく看護)という言葉があります。

EBNはEBM(Evidence-Based Medicine:科学的根拠に基づく医療)という言葉が発生したのち、それに同調するようにして生まれたとされています。

EBNという概念の成り立ちについて西山は以下のように説明しています。

 

EBMという言葉がはじめて登場したのは、1991年のカナダマクマスター大学のGordon Guyattが医学雑誌に貧血の診断について載せた一文が最初といわれている。(中略)さらに今日ではEBMの基本的考え方は医学だけではなく看護、薬学、栄養などの分野にも広がり、医療全体を包含するEBP(Evidence-based Practice;科学的根拠に基づいた臨床実践)としてとらえられている。一方看護会では「科学的根拠に基づいた臨床実践」の重要性はもちろんのこと、研究成果を実践に利用する必要性について以前から指摘されていた。しかしその概念等が明確でなかったことなどから、個々人が努力をしながらもその成果がなかなか利用されない、または利用できない状況が続いていた。すなわち看護介入効果に関する知識と実際の臨床現場で行われていることにギャップがあることが認識されていた。このような背景をもとに看護はEBMの動きにすぐさま同調し、看護実践には人を対象とした臨床研究に成果を実践の知識として利用していく必要性を提唱して、EBNが生まれた。」

 

そして、草間は「EBN(エビデンスに基づく看護)は、患者さんに対して最善のケアを提供するための手段であり、看護の熟練者の経験と知識に基づいて行われてきた従来のケアに代わり、現時点で得られる最善の科学的なエビデンス(根拠)を活用して個々の患者さんにとって最善のケアを提供していこうとするものである。」と説明しています。それを図化したのが以下の図です。

f:id:masao0730:20191001131342p:plain

https://ebn.bmj.com/content/1/2/38

これを訳したのが以下。

f:id:masao0730:20191001143535p:plain

http://www.oita-nhs.ac.jp/journal/PDF/4_1/4_1_3.pdf

これは患者にとって最善のケアは

  • Clinical expertise:臨床の経験に基づく専門的知識
  • Resources:利用できる資源
  • Research evidence:研究成果(エビデンス
  • Patients` preferences:患者の意向

の4つの要素を総合的に判断して決定される、とされるものです。

 

またEBNを実行するためのステップは

  1.  問題の定式化:看護実践における問題、疑問点を明確にする
  2. エビデンスを探す:文献調査によりエビデンスとなり得る情報を探す
  3. エビデンスを批判的に検討する:文献で探した情報がエビデンスとして活用できるものであるかどうかを評価する
  4. 患者への適応:エビデンスを、患者さんに適用できるかどうかを「専門的な知識」「患者さん等の意向」「利用できる資源」を考慮して判断する
  5. アウトカムを評価:エビデンスを適用した結果を評価し、フィードバックを図る。看護職は、EBNに関しては、エビデンスを評価して使う、すなわち公表されている看護研究の結果を積極的に利用する立場にあると同時に、エビデンスを精力的に作りそれを公表する、すなわち実際に看護研究を行う立場にもある。

です。

この5つのステップを皆さんちゃんと踏んでいますか?

自分が学生時代に詰められた

エビデンスはあるの?」

エビデンスはどうなの?」

の「エビデンス」という言葉は、本当に研究成果としての「エビデンス」という言葉だったのでしょうか?

 

○○したら●●になる。

△△だから▲▲しない。

など、それらが医学的に看護学的にそう考えられるもの、であっても研究成果としてなければエビデンスがあるとは言えません。

あくまで論理的に考えてそう、であるだけです。

そのため文献検索しましょう。

もちろん勤務中でも。

1年生には時間があるときにはそのように指導しています(響いているかどうかは別として)。

きっと学生のときに言われた「エビデンス」という言葉は、

  • 論理的に考えて、医学・看護学してはどうなのか?

という意味であったと勝手に考えてます。

 

なので指導する立場の人たち、エビデンスという言葉の使い方は、少し気を付けたほうがよさそうですね。

そう考えると、自分が冒頭で

エビデンス(根拠)

と述べたのは少し語弊があるかもしれませんね。

 

長くなりましたが

本日はここまで。

では。

 

 

(引用・参考元)

 

 

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